2015年度第1回研究会:「メルヴィルのオリエンタリズム―『白鯨』の描く異教の世界」

科学研究費・基盤研究(B)「マニフェスト・デスティニーの情動的効果と21世紀惑星的想像力」
後援:グローバルセキュリティ研究所アメリカ研究プロジェクト

2015年5月19日(火)14:45-16:15
慶應義塾大学三田キャンパス西校舎515教室
(会場・開始時刻がいつもと異なります。ご注意下さい。)

講師:斎木郁乃(東京学芸大学准教授)
司会:巽孝之(慶應義塾大学文学部教授)

講師紹介:斎木郁乃。東京学芸大学准教授。メルヴィルとオリエンタリズムや南北戦争文学におけるジェンダー規範の撹乱をテーマとして研究を進める。Facing Melville, Facing Italy (U of Rome P, 2014), Melville and the Wall of the Modern Age (Nan’un-do, 2010)、それに“Whole Oceans Away”: Melville and the Pacific (Kent State UP, 2008)などに論文を発表している。

メルヴィルが晩年の詩の中でノスタルジックに南太平洋を称して「異教の海に浮かぶ真のエデン」と述べたように、『白鯨』においてもキリスト教的な世界観とそれを拡張しつつ批判する異教的な世界観が融合している。19世紀のアメリカでは、聖地巡礼のブームを通して、アジアとそこで暮らす人々が聖書を具現化する存在と見なされ、同時にマニ教やゾロアスター教などのアジアの異教にも関心が高まったと考えられ、『白鯨』もその歴史的流れを色濃く反映している。本論では、主にエイハブとフェダラー、イシュメイルとクィークェグの間をつなぐアジア的かつ異教的なものに焦点を当てながら、メルヴィルのオリエンタリズムについて一考察を加える。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください