主催:科学研究費・基盤研究(B)「マニフェスト・デスティニーの情動的効果と21世紀惑星的想像力」
講師:フランソワ・スペック
討論者:山本洋平 (英語・通訳なし)
2017年9月28日(木)16:40〜18:40 立教大学5号館2階・5208教室
講師:リヨン高等師範学校(フランス国立科学研究センター)教授。パリ第七大学大学院博士課程修了。編著にEnvironmental Awareness and the Design of Literature(Brill, 2016年)、共編書にWalking and the Aesthetics of Modernity: Pedestrian Mobility in Literature and the Arts(Palgrave-Macmillan, 2016年)、Thoreauvian Modernities: Transatlantic Conversations on an American Icon(U of Georgia P, 2013年)など。
討論者:明治大学理工学部専任講師。立教大学大学院文学研究科博士課程修了。共編著に『環境人文学I——文化のなかの自然』、『環境人文学II——他者としての自然』(勉誠社、2017年)、論文に「明白ならざる運命——『ウォールデン』における動物表象」『ソローとアメリカ精神——米文学の源流を求めて』(金星堂、2012年)など。
本基盤研究(B)は、マニフェスト・デスティニーのレトリックの国際政治における意義を歴史的にたどると同時に、その心理的・精神的効果がアメリカ国民の情動を操作するナラティヴとしていかに機能しているかに焦点をあて、地球規模でのアメリカの位置を読み直すことを目指している。
本年、生誕200年を迎えるソロー(Henry David Thoreau)は、その環境問題に対する意識の高さと非暴力の政治学において、世界的 な再評価が進みつつある米国の思想家である。今回は、彼の代表的なエッセイのひとつである“Walking”を取り上げ、そこから見えてくる作家/思想家の本質に迫りたい。このエッセイは従来、「野生」の保全を訴えるエコロジカルなテクストとして評価される一方、その熱烈な西漸運動の賛美ゆえに、マニフェスト・デスティニーのイデオロギーと共犯関係にあるとの批判も受けてきた。保全と征服をめぐるこの一見矛盾したベクトルは、いかなる論理によって統合されうるのだろうか。ソローの思想の縮図とも言える濃密なテクストを精読することで、その複雑な多層性を再検証することが本企画の目的である。
研究代表者:下河辺美知子(成蹊大学)
研究分担者:巽孝之(慶應義塾大学)・舌津智之(立教大学)・日比野啓(成蹊大学)