2018年2月19日(月)18:30-20:30
成蹊大学3号館101教室10号館2階第二中会議室(会場が変更になりました)
基調発表
デリーロ文学における微粒子――『ポイント・オメガ』から『ゼロK』へ
渡邉克昭(大阪大学)
ワークショップ
Don DeLillo,”TheStarveling”を読む
近藤佑樹(大阪大学大学院修士課程)
田浦紘一朗(成蹊大学大学院博士課程)
冨塚亮平(慶應義塾大学大学院博士課程)
コメンテイター:渡邉克昭
本基盤研究(B)は、マニフェスト・デスティニーというレトリックの国際政治における意義を歴史的にたどると同時に、その心理的・精神的効果がアメリカ国民の情動を操作するナラティヴとしていかに機能してきているかに焦点をあて、地球規模でのアメリカの位置を読み直すことを目指している。
今回は、現代アメリカを代表するポストモダン作家であるDonDeLilloの新しい諸作品に注目し、我々と同時代を生きる彼が過去数年の間に描き出した最先端の世界認識にスポットを当てる。
まず基調講演では、渡邉克昭氏が、デリーロ文学を「微粒子」という視座から読み直す。そのような試みはこれまでほとんどなされていないが、素材となる作品には事欠かない。今回は、そうしたテーマを概観したのち、『ポイント・オメガ』に描かれた『二四時間サイコ』の光の微塵が織り成す超低速のシネマ空間と、『ゼロK』においてシャワーの水滴と化したアーティスの無限小の囁きに焦点を絞り、共通する微粒子のうち震えが、地質学的な無限大の時間相といかなる関係性をもつのか考察する。
その後はワークショップ形式とし、文芸誌Grantaに発表されたデリーロの“TheStarveling”を取り上げ、本邦東西の若手研究者3名に自由なそれぞれの視点から作品分析を行って頂く。2011年に発表されたこの短編を、上述の『ポイント・オメガ』(2010年)ならびに『ゼロK』(2016年)ともあわせて見据えるとき、そこには、いかなる2010年代の心象風景が――そしてポストモダン・アメリカの現在形が――立ち現れるのだろうか?
研究代表者:下河辺美知子(成蹊大学)研究分担者:巽孝之(慶應義塾大学)・舌津智之(立教大学)・日比野啓(成蹊大学)
*どなたにも無料で参加していただけますが、会場整理の都合上、hibinoあっとまーくfh.seikei.ac.jpに事前のご連絡を下さいますようお願いいたします。