2014年度第2回研究会:「女性旅行者と地政学的想像力」基調発表・ワークショップ

科学研究費・基盤研究(B)「マニフェスト・デスティニーの情動的効果と21世紀惑星的想像力」

2014年12月5日(金)18:30~20:30
成蹊大学10号館2階第2中会議室

基調発表
大串尚代(慶應義塾大学)
「荒野における独立宣言――セジウィックとチャイルドの西部」
ワークショップ
Catharine Maria Sedgwick, “The Great Excursion to the Falls of St. Anthony”を読む

小泉由美子(慶應義塾大学大学院博士課程)
内藤容成(グラスゴー大学博士課程修了)
阿部暁帆(成蹊大学非常勤講師)
コメンテイター:大串尚代

 本基盤研究(B)は、マニフェスト・デスティニーというレトリックの国際政治における意義を歴史的にたどると同時に、その心理的・精神的効果がアメリカ国民の情動を操作するナラティヴとしていかに機能してきているかに焦点をあて、地球規模でのアメリカの位置を読み直すことを目指している。
 今回は、19世紀中葉、まさしくマニフェスト・デスティニーという言葉がジョン・オサリヴァンによって使用された当時のアメリカに注目し、西漸運動を押し進める国家の地政学的諸相に思いを馳せた女性作家の想像力について考える。そこから見えてくるのは、交通手段の進歩、先住民の「消滅」、奴隷制の軋みなど、近代国家アメリカが映し出す多彩な風景にほかならない。
 まず基調講演では、大串尚代氏が、同時代に作家として活躍したキャサリン・マリア・セジウィックとリディア・マリア・チャイルドが作品内で著した西部への視線を論じる。マサチューセッツ州に生まれ、その人生のほとんどをニューイングランドで過ごしたこのふたりの作家が西部になにを見たのかを考察する。
 その後はワークショップ形式とし、セジウィックの “The Great Excursion to the Falls of St. Anthony”に焦点を絞り(テキストはここからダウンロード可能)、若手研究者3名にそれぞれの視点から分析を行って頂く。17世紀末、ヨーロッパからの神父/探検家が、ダコタ族に捕えられた際に発見し、その守護聖人の名をつけたセント・アンソニーという象徴的な滝をめぐるエッセイを考察するにあたり、フロアーからも活発なご質問、ご意見を頂ければ幸いである。

どなたにも無料で参加していただけますが、会場整理の都合上、hibinoあっとまーくfh.seikei.ac.jpに前日までにご連絡ください。

研究代表者:下河辺美知子(成蹊大学)
研究分担者:巽孝之(慶應義塾大学)・舌津智之(立教大学)・日比野啓(成蹊大学)