2014年度第3回研究会:「アメリカ演劇(史)の<明白なる運命(マニフェスト・デスティニー)>」

科学研究費・基盤研究(B)「マニフェスト・デスティニーの情動的効果と21世紀惑星的想像力」

2015年1月31日(土)17:00~19:00
成蹊大学10号館2階第2中会議室

講師:常山菜穂子

講師紹介
つねやま なほこ。慶應義塾大学法学部教授。文学博士(慶應義塾大学、2000年)。アメリカ演劇文化専攻。単著に『アンクル・トムとメロドラマ — 19世紀アメリカの演劇・人種・社会』(慶應義塾大学出版会、2007年)、『アメリカン・シェイクスピア — 初期アメリカ演劇の文化史』(国書刊行会、2003年)。

2000年代に入り、グローバリゼーションの現象と概念が意識的 / 無意識的に依拠してきた「世界の中心としてのアメリカ」の地位が揺らぐと、アメリカ研究にアメリカを脱中心化する動きが生まれた。アメリカ一国主義を内包する「グローバル」という概念を避けて、異質なるものや不可視化されてきたものをも包括する「惑星」の視点からアメリカ文学・文化を再読しようというのである。その際に「マニフェスト・デスティニー」の概念は、アメリカを国境や大陸の枠組みを越えた外部との関わりから捉える視点を提供するキーワードとなった。本発表ではこの新思潮をアメリカ演劇研究に援用し、アメリカ演劇をより相対的に捉えると共に、そのような作業を通して演劇史を再考する。
アメリカ演劇の歴史は、イギリス文化を受け継ぎ独自の演劇へと作り替えて、NYから西へと広めていく西漸運動だった。ところが、西海岸から海(たとえば、ハワイ)へと飛び出したとき、アメリカ演劇は太平洋の島特有の条件と交渉することを余儀なくされ、異種混淆のかたちへと変容した。このような西漸運動の果てに太平洋に生じていたアメリカ演劇を考え、さらにこその再発掘をきっかけにアメリカ演劇史を再考したい。

どなたにも無料で参加していただけますが、会場整理の都合上、hibinoあっとまーくfh.seikei.ac.jpに前日までにご連絡ください。

研究代表者:下河辺美知子(成蹊大学)
研究分担者:巽孝之(慶應義塾大学)・舌津智之(立教大学)・日比野啓(成蹊大学)