情動についての研究はすでに各方面で行われているが、本研究では、まず情動についての先行研究を概観した上で、アメリカ国家の外交政策を検証するために使える情動研究の方法を探っていく。その上で、マニフェスト・デスティニーのレトリックが生み出された社会的・政治的・文化的経緯をつきとめ、それがナラティヴとして19世紀から21世紀のアメリカで変奏されていく歴史的経緯を明らかにしていきたい。G.スピヴァックの立場を出発点としつつ、精神分析的アプローチ、大衆文化における情動の役割の検証などを取り入れた上で、アメリカニズムと同義となったグローバリズムのレトリックへの批判を発展させる形で、21世紀グローバルコミュニティにおける惑星的想像力の可能性を浮き上がらせることを目標とする。